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開放型平面駆動式ヘッドフォン AR-H1

by 橋本 尚久

今回はAcoustic ResearchのAR-H1というヘッドフォンの紹介です。ヘッドフォンはスピーカーと同じ構造をしたダイナミック型が主流ですが、それとは違い、薄いコイルを薄い振動板一面に敷き詰めて多数の磁石で挟み込んだ構造の平面駆動方式と言われるヘッドフォンがあります。平面駆動方式も厳密にはコイルと磁石で駆動する方式と振動板を帯電させて静電気の原理で振動させる静電駆動式とありますが、静電駆動式は高電圧を発生させる特殊なアンプが必要で、ダイナミック型ヘッドフォンと同じアンプが使えるコイルと磁石で駆動する平面駆動ヘッドフォンの方が平面駆動方式では普及しています。

ダイナミック型ヘッドフォンは、振動板の真ん中部分に巻かれたコイルとその周りの磁石との磁力で振動板を押し引きして音を出しますが、力が振動板の真ん中に集中しますので振動板がたわまないようにある程度の硬さが必要であまり薄くできない欠点があります。後は分割振動と言って、中心部の振動が振動板の端に伝わっていって振動板の端から返ってきた振動と共鳴し合って不必要な振動を起こし音の歪みの原因になります。これに対して平面駆動方式のヘッドフォンは振動板全体が比較的均一に振動しますので分割振動が起こりにくいことと振動板を薄く作ることができるため、音の歪みが非常に少なくまた細かい音の再現性に優れています。欠点としてはダイナミック型と違って磁石と振動板との距離をあまり取れず、従って振動板の振幅がダイナミック型と比べて不足し、能率が良くない(=大きな音量を出しにくい)という欠点があります。簡単に言えば、大きく振幅を取りやすいダイナミック型は鳴らしやすく低音の効いた迫力のある音を出しやすいが細かい音が不得意、それに反して平面駆動方式は細かい音は得意だけれども、鳴らしにくく低音の効いた迫力のある音は苦手と言えます。また平面駆動方式はダイナミック型と比べるとあまり一般的でないため、製造コストがかかりどうしても10万円を超える高価なものが多いです。

前置きが長くなりましたが、高価で鳴らしにくいヘッドフォンというのが平面駆動方式のヘッドフォンの一般的な評価でしたが、このAR-H1というヘッドフォンはインピーダンスが33オームと低く、能率は92dB/mWとダイナミック型ヘッドフォンよりは低いものの、スマートフォンやポータブルデジタルオーディオプレイヤー(DAP)直刺しでも鳴らすことができ、価格も8万円台とこれまでの平面駆動式ヘッドフォンよりは安価なのが魅力的です。

上記は外箱とヘッドフォンと右下はバランス接続用に買った、4pin-XLRバランスケーブル(OPP-BHC-3)です。

シングル接続用の1.2mの長さのケーブルと標準変換プラグ、ヘッドフォン・ポーチが付属します。

ヘッドフォン自体はハウジングがアルミ合金製でしっかりしており、高級感があります。ヘッドフォンを支える可動部分もアルミ製で作りもしっかりしています。

ヘッドフォンケーブルを接続する部分は2.5mmのモノラルタイプのジャックです。変に奥まったりしていないため、2.5mmモノラルタイプであれば他社製のケーブルであっても刺しやすくなっています。

このAR-H1は耳全体をすっぽり包み込むタイプで、やや側圧は強めですが、首を傾けるとヘッドフォンがずれるということもなく、装着感は良好です。

他社の平面駆動方式ヘッドフォンと比べて鳴らしやすいとは言ってもしっかりした音量・音質で楽しむにはDAP直刺しよりはヘッドフォンアンプで鳴らした方がより良い音質で楽しめます。AR-H1は開放型で音漏れも大きいですので、外では使いにくく、室内で使用することがほとんどになります。

AR-H1はどこかの音域のクセが強いということはなく低音から高音までバランス良く鳴らすことができ、平面駆動方式の特徴である細かい音の表現力も高く、ボーカルが近めですがバックの楽器の位置も明確で定位がしっかりしています。ダイナミック型ヘッドフォンの代表とも言えるbeyerdynamic社のT1 2nd Generationと比べると音場では一歩譲りますが、それ以外の微小音の再現性や定位感はこちらのAR-H1の方が優れている気がします。ゆったり聴きたいときはT1 2nd Generation、しっかり聴きたいときはAR-H1と使い分けができそうです。そういう意味では上の写真のように高解像度で駆動力も高いCHORD社のHugo2との組み合わせは抜群と言えます。

まとめると、比較的リーズナブルな価格で、音質も大変高く比較的鳴らしやすいAR-H1は初めて開放型平面駆動型ヘッドフォンを購入するには最適と言えるでしょう。できればその音質を最大限味わうにはHugo2やMojo等の解像度が高くて駆動力のあるヘッドフォンアンプと組み合わせるのが最良と思います。

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橋本 尚久
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