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過体重、脳の老化を加速か

by 橋本 尚久

太りすぎの中年の人々の脳では、老化が加速している兆候が示されているとの研究結果が英ケンブリッジ大学より8月4日に発表されました。

同大学より米専門誌「加齢神経生物学(Neurobiology of Aging)」に掲載された論文によると、40歳の過体重(肥満)の人の脳は、そうでない同年齢の人より老化が10年進んでいると考えられるとのことです。また、この10年の差は、過体重や肥満の人々が年を取っても残り続けるそうです。

脳の大きさは、老化が進むにつれて自然に小さくなりますが、標準体重の人々に比べて過体重の人々は、大脳白質(脳の異なる部位間の情報伝達を行う部位)の減少量が大きいそうです。

なお、灰白質は,脳の表面の神経細胞のいるところで、白質は,灰白質の内側にあって神経細胞の連絡路(軸索)です。上のMRI写真では、黄色い矢印が灰白質(灰色に見える部分)、赤い矢印が白質です(白く見える部分)。

大脳白質の減少の原因となる大脳白質病変はMRIのT2強調像で斑状〜融合状の高信号病変としてとらえられ、大脳白質構造が粗くなっていることを意味しています。神経細胞の連絡路である軸索を被っている髄鞘(神経の電導を高速にする機能がある)が薄くなっていることを表しており、脳の血の巡りが悪くなっていることが原因と考えられています。

大脳白質病変の最大の危険因子は高血圧と言われており、次に肥満、脂質異常症、糖尿病、喫煙、加齢と続きます。いずれも血管の動脈硬化の危険因子で、今回の過体重(肥満)も高血圧や脂質異常症、糖尿病を起こしやすく、肥満そのものも動脈硬化の危険因子となりますので、それによる大脳白質病変が原因で大脳白質の減少に繋がっていると思われます。そう考えると太りすぎの中年の人々の脳で老化が加速しているというのは特別な話でもないように思いますね。

脳は体の中で最もエネルギー(糖質)を必要とする臓器で、それが不足しがちになる極端な「やせ」も脳細胞にダメージを与えるのでよくありませんが、「肥満」も万病の元と言えます。なお、標準体重(kg)は、身長(m)×身長(m)×22で簡単に計算できます。また、BMI(体格指数:Body Math Index ; 肥満の程度を知るための指数)は、BMI=体重(kg) ÷ (身長(m) × 身長(m))で計算でき、BMIが18.5未満で「やせ」、18.5以上25未満で「標準」、 25以上30未満で「肥満」、30以上で「高度肥満」です。BMIが22前後が最も病気を起こしにくいと言われています。

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橋本 尚久
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